2015年01月20日

16年前の事件の被害者と加害者が夫婦として過ごしている

16年前の事件の被害者と加害者が夫婦として過ごしている
16年前にある野球部内で集団強姦事件が発生した。ある新聞記者がその事件を追っていると、奇妙な事にその事件の主犯格の男と被害者の女が現在夫婦として生活を送っていることに気づく。主犯格の男はその事についてずっと罪悪感を抱いていて、こんな最低な事をした自分を簡単に生かし、許しているかのような社会に言い表せない不安を感じていた。被害者の女は強姦された事によって両親が離婚し、何人かと付き合うがいずれも上手くいかず、親しい友人も作れず、加害者への怒り、そして何よりも加害者達にそのときついて行った自分の浅はかさに嫌気が差していた。事件から離れることの出来なかった二人は大人になってから再会し、男は償いのために、女は復讐の為に生活を共にするようになっていたのだが、いつの間にか愛情とも言いつかぬ歪な情が生まれてしまい、それを断ち切る為に女は男の前から姿を消す。
ありきたりなストーリーなのかもしれないが、そこに至るまでの登場人物の心理の動きは読んでいてとても面白かった。特に被害者の女性とお付き合いした男性が全員「レイプされた女と付き合って俺が笑われる」という意識を持ち、結果的に別れることになる、という部分がまったく想像していなかった気持ちの動きだったので、ハッとさせられた。かわいそうな被害者として終わるだけではなく、その後も自分について回る過去。皆消して悪い人間なわけではない。ありふれた家族や友人を大事にする人たち。そしてその中に入れてはもらえない、受け止めてもらえない過去と自分。この物語はフィクションだが、確かにそういう気持ちを持つ人間がいてもおかしい話ではないのか、と、新たな視点をもらうと同時に、私はそういう人が身近にいたらどんな対応をするだろうと考えた。自分の気持ちだけならまだしも、その人がいることで社会生活や家族関係が危ぶまれるような事が起きてしまったら、その人の事を好きでも守れるだろうかと。想像が出来ない部分がまだまだ多いからこそ、もっと色んな視点を持ち、自分なりの答えを見つけたいと思った。





Posted by さきちゃん at 15:00│Comments(0)
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